【デビュー物語】ビリー・ジョエル

デビューの瞬間には、さまざまなドラマがちりばめられています!

どんなスーパースターにも、新人の時がありました。

ここでは、さまざまなアーティストの最初の一歩をご紹介します。

今回は、ビリー・ジョエルです。

これを読めば、きっとあなたも「聴いてみたい!」と思われるでしょう。

それでは、どうぞ。

デビューまで

シンガー・ソング・ライターのビリー・ジョエルは1949年、アメリカのニューヨーク州生まれ。

親の勧めで、4歳の頃にピアノのレッスンを受け始めましたが、最初はピアノが好きではなかったようです。

やがてビリーは、10代の時に見たビートルズに衝撃を受け、音楽の道に進むことを志します。

60年代中頃から、いくつかのバンドに参加しましたが、いずれも成功することはできませんでした。

1971年、22歳になったビリーは、ファミリープロダクションという新進のレコード会社と契約を結ぶことに成功しまます。

同年、ソロ・デビューアルバム「コールド・スプリング・ハーバー~ピアノの詩人」が発表されました。

コールド・スプリング・ハーバー~ピアノの詩人

レコーディングのため大陸を横断してロサンゼルスに渡ったビリーでしたが、アルバム制作は結局、苦い思い出をビリーに残してしまう結果となりました。

レコードの編集作業で、とんでもないミスが起こってしまったのです。

レコーディングのテープの再生速度が本来より高い回転数で仕上げられてしまいました。

これによってビリーの声はファルセットのような甲高い声になったのです。ピアノも、ものすごい速弾きになっています。

これがそのまま発売されるとは信じがたいのですが……。

正しいビリーの声を知っている私たちからすれば一聴して不自然に聞こえます。

しかしデビューアルバムなので、ビリー・ジョエルはこういう声なのだと思ってしまった方は多かったでしょう。

追い打ちをかけるように、この新進のレコード会社はアルバムの宣伝活動にも失敗し、売り上げもまったく伸びませんでした。

さまざまな失態に嫌気がさしたビリーは契約を解除し、大手のコロムビア・レコードに移籍しました。

しかし、法的なごたごたはしばらく尾を引くことになります。

後にこのアルバムの権利を手に入れたコロムビア・レコードは、正しい再生速度で再編集したこのアルバムを1983年に発表しました。

今、私たちは新しく作り直されたこのアルバムを聴けるわけですが、前述のさまざまなトラブルを抜きにして見れば、なかなか良いデビューアルバムになっています。

ビリーの作る曲は、後の大成功を予感させるような美しいメロディーが随所に見られました。

また、彼のこの当時の心境をつづった歌詞のすばらしさも見逃せません。

ビリーのピアノ、これは文句なく耳に響きます。クラッシックの素養も随所にうかがえました。

内向的な作品が多いのが特徴的ですが、もし現在少し落ち込んでいるかたが聴かれたとしたら、共感できるはず。

彼が本格的な成功を手に入れるのは、ここからしばらく先になりますが、このデビュー・アルバムはビリージョエルのファンなら必聴盤です。

今回は、ビリー・ジョエルの最初の一歩をご紹介しました。

このアルバムをAmazon Musicで聴いてみましょう。

おまけ ビリー・ジョエル その他のおすすめアルバム3選

ストレンジャー The Stranger

1977年に発表された、ビリー・ジョエル5枚目のアルバムです。

ビリーの才能が開花した、初期の代表作となりました。

このアルバムからプロデュースをすることになったフィル・ラモーン。

彼は、ソングライターとしての繊細なビリー、エネルギッシュなロックン・ローラーのビリーの両面を見事に引き出します。

サウンドも洗練され、聴いていて心地よいアルバムになりました。

収録曲ですが、日本で大ヒットした「ストレンンジャー」、ビルボードのシングルチャートで3位まで上昇した「素顔のままで」など、名曲揃いです。

アルバムはビルボードで2位を記録しました。

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グラス・ハウス Glass Houses

1980年発表、ビリー7枚目のアルバムです。

コンパクトな曲が多く、引っかかるところが少なくてサラリと聴けるアルバムですが、実は深い内容を含んでいます。

アルバム「ストレンジャー」が日本で人気の高い作品であるのに対して、「グラス・ハウス」はアメリカでウケました。

ビルボードのアルバムチャートでは6週間にわたって1位を記録しています。

ロックっぽい作品と一般的には言われていますが、ビリーの作る曲は、やはり繊細で複雑です。

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イノセント・マン An Innocent Man

1983年発表、ビリー9枚目のアルバムです。

ビリーのポップな一面がさく裂した、楽しんで聴けるアルバムです。

彼が敬愛する、さまざまなアーティストからのインスパイアが見て取れます。

ベートーヴェンの「悲愴」をモチーフにした「今宵はフォーエバー」などは、その最たるものでした。

1950年代や60年代のポップスが好きな方には、たまらないアルバムとなっています。

ビルボードのアルバムチャートでは4位。

この名作が1位になっていないのは不思議ですが、洋楽全盛期で、たくさんの名作が目白押しだったというのも理由の一つでしょう。

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