【デビュー物語】ブルース・ブラザーズ

デビューの瞬間には、さまざまなドラマがちりばめられています!

どんなスーパースターにも、新人の時がありました。

ここでは、さまざまなアーティストの最初の一歩をご紹介します。

今回は、ブルース・ブラザーズです。

これを読めば、きっとあなたも「聴いてみたい!」と思われるでしょう。

それでは、どうぞ。

デビューまで

ジョン・ベルーシは1949年、アメリカのイリノイ州生まれです。

ロック好きの彼は、バンドでドラマーをしたり、スポーツに励んだりする少年時代を過ごしました。

ダン・エイクロイドは1952年、カナダのオンタリオ州生まれ。

ベルーシと同じく音楽にのめり込みます。ロック好きのベルーシに対し、エイクロイドのほうはブルース、R&Bといった黒人音楽に夢中になりました。

やがて、2人は演劇の道に進むことになります。

ベルーシは地元シカゴのコメディ劇団、セカンド・シティに入団しました。

そして偶然にもエイクロイドは、セカンド・シティのカナダ・トロント支部に入団したのです。

しばらくして、コメディアンとしての可能性を追い求めるベルーシは演劇の本場、ニューヨークへと進出します。

ここで彼は着実にキャリアを重ねていきました。

1972年、ベルーシとエイクロイドは出会い、すぐに親友となります。

そして1975年、2人に転機がおとずれました。

あたらしくスタートすることになったテレビのバラエティ番組に、2人とも脚本家兼出演者として参加することになったのです。

その番組こそ、のちにエディ・マーフィやクリス・ロックなどたくさんのコメディアンを生み出すことになる「サタデーナイト・ライブ」でした。

ベルーシは、切れのいいおしゃべり、有名人の物まねなどで人気者になっていきます。

エイクロイドのほうも、さまざまなキャラクターでその才能を発揮していくのでした。

「サタデーナイト・ライブ」はコメディだけでなく、音楽にも力の入った番組でした。

さまざまなミュージシャンが出演して演奏をしていましたが、その中である企画が始まります。

黒いスーツ、黒い帽子、サングラス姿の2人組がブルースやソウル・ミュージックを歌う、というものでした。

彼らは、すぐに人気を博します。

ロック好きのベルーシに、エイクロイドはブラック・ミュージックのすばらしさを教え込みました。

一種のパロディとして、キャラクター優先のおふざけ企画からのスタートでした。しかし、もともと音楽マニアの2人はこの企画にどんどんのめり込んでいきます。

彼らはソウル、ブルース、R&Bの曲からレパートリーを厳選していきました。

レコードのシングル盤を集めて片っぱしから聴きまくり、ボツになったレコードを床にたたきつけて割っていったというエピソードが残っています。

2人とも歌えますが、エイクロイドは兄(という設定)のベルーシを立て、メインでボーカルを取るのはベルーシのほうになりました。

彼らの本気度を見た番組の音楽ディレクターは、実際にオリジナルのレコードで演奏していた一流のスタジオ・ミュージシャンを集めることを考えます。

こうしてジェイクことベルーシ、エルウッドことエイクロイドの義理の兄弟、そして本物の一流ミュージシャンを従えたブルース・ブラザーズが誕生したのです。

ブルースは絆 Briefcase Full of Blues

1978年、デビューアルバム「ブルースは絆」が発表されました。

当時の音楽状況はどのようなものだったのでしょうか。

ディスコ、パンク、ソフトなロックなどが流行っていましたが、ブルースやR&Bは、きびしい言い方をすれば過去の物でした。

彼ら、とくにエイクロイドは、ブルースなどの素晴らしい音楽が忘れられていくことに寂しさや危機感のようなものを持っていました。

そんな中で発表されたこのアルバムには、厳選された50年代~70年代のブルース、ソウルミュージックが詰まっています。

ライブ形式で録音されていて、エネルギッシュなベルーシのボーカル、エイクロイドのブルース・ハープ、手堅いバックの演奏は目を見張るものがあります。

ブルース・ブラザーズの魅力として、ソウル・ミュージックを演奏しているが「物まね」ではない、という点があげられます。

あくまでも自分たちの解釈でオリジナル・アーティストへのリスペクトを忘れず、なにより音楽を愛して、楽しんでいるという気持ちが伝わってきます。

そんな彼らが当時受け入れられたという事実は、アメリカ人の懐の深さを感じます。

さて、このアルバムは大ヒット。全米アルバム・チャートでなんと1位を獲得します。

収録曲であるサム&デイブの曲「ソウル・マン」はシングルとして発表され、全米14位のヒットになりました。

「ブルースは絆」の大ヒットにより、ブルース・ブラザーズの映画化が決定。ジェイクとエルウッドは、ますます大きな存在になっていくのです。

今回は、ブルース・ブラザーズの最初の一歩をご紹介しました。

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ザ・ブルース・ブラザーズ オリジナル・サウンドトラック

1980年6月に発売されました。同年公開の映画「ブルース・ブラザース」のサウンドトラック盤ですが、そのことにこだわる必要はありません。

デビューアルバム「ブルースは絆」につづく2枚目の作品として、映画を見ていないとしても楽しめる出来になっています。

レイ・チャールズやジェームズ・ブラウンなど、多彩なゲストの歌も収録されました。

欲をいえば、フェード・アウトしてしまう曲は、最後まで聴かせてほしかったところです。

スペンサー・デイヴィス・グループの曲をカバーした「ギミー・サム・ラヴィン」がシングル・カットされて、ビルボード18位の大ヒットとなりました。

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メイド・イン・アメリカ Made in America

1980年12月に発売された、ブルース・ブラザーズ3枚目のアルバムです。

1982年3月、ジョン・ベルーシが33歳の若さで急逝したため、これがオリジナル・メンバー最後のアルバムとなりました。

「メイド・イン・アメリカ」は彼らの北米コンサート・ツアーをおさめたライブ・アルバムです。

30分ちょっとという収録時間は若干のもの足りなさを感じます。しかし彼らのパフォーマンス、観客の熱気ともに熱く、この当時のブルース・ブラザーズの盛り上がりを感じさせました。

聴きどころのひとつがブッカー・T&ザ・MG’sの曲、「グリーン・オニオンズ」です。

ギターのスティーブ・クロッパーとベースのドナルド・ダック・ダンは、ともにMG’sのメンバーでした。当然、ここでも素晴らしい演奏を聴かせます。

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ブルース・ブラザース2000 Blues Brothers 2000

「ザ・ブルース・ブラザーズ」の続編として1998年に公開された映画「ブルース・ブラザース2000」のオリジナル・サウンドトラック盤です。

じつに18年という歳月を経ての続編ということで、サウンドトラック盤のほうも力の入った作品となりました。

1時間という収録時間で、聴きごたえたっぷりです。

ゲスト・ミュージシャンの数も前作以上に多いため、バラエティ豊かなのはまちがいありません。しかし、そのぶんオリジナル・メンバーのダン・エイクロイドの歌は少なくなりました。

聴きどころの曲のひとつが、ブルース・トラヴェラーの「メイビー・アイム・ロング」です。

この曲は彼らのアルバムには収録されておらず、ここでしか聴けません。素晴らしい演奏ですので、ぜひ聴いていただきたいです。

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