デビューの瞬間には、さまざまなドラマがちりばめられています!
どんなスーパースターにも、新人の時がありました。ここでは、
さまざまなアーティストの最初の一歩をご紹介します。
今回は、ザ・ベンチャーズです。
これを読めば、きっとあなたも「聴いてみたい!」と思われるでしょう。
それでは、どうぞ。
デビューまで
ザ・ベンチャーズは、アメリカのワシントン州にて結成されたインストゥルメンタル・ロック・バンドです。
ドン・ウィルソンは1933年生まれ。陸軍の軍楽隊などでトロンボーンを演奏していました。
やがてギターを始め、練習に打ち込みます。
ボブ・ボーグルは1934年生まれ。12歳の時にギターを始めます。学校を中退し、建築関係の仕事につきました。
1958年、シアトルで運命の出会いが訪れます。
ドンは当時、父親が経営する中古車販売店で働いていました。
そこへ車を買いにボブがやってきたのです。
共通の趣味がギターだということを知った2人は、たちまち仲良しになり、音楽談義に花を咲かせました。
やがてドンとボブは、同じ建築会社に就職します。
彼らはギター・デュオとして活動を開始しました。
ドンがリズム・ギター、ボブがリード・ギターを担当。「ヴァーサトーンズ」と名乗って酒場やパーティ会場などで演奏するようになります。
「ザ・ベンチャーズ」という名前は、ヴァーサトーンズがすでにバンド名として使われていることを知った時にドンの母親のアイディアで付けられました。
やがて彼らはノーキー・エドワーズ(1935年生まれ)をベーシストとして迎えます。
ドラマーはしばらく流動的に入れ替わりましたが、やがてレコードデビュー後にメル・テイラー(1933年生まれ)に落ち着きました。
何度かメンバーチェンジはありましたが、このドン、ボブ、ノーキー、メルの4人がザ・ベンチャーズの黄金期メンバーであり、ベスト・メンバーです。
彼らはドン・ウィルソンの母親の協力によって、自主製作レーベルを立ち上げました。
そのレーベルから2枚目に発売されたシングルが「急がば廻れ(ウォーク・ドント・ラン)」です。
もともとはジャズ・ギタリストのジョニー・スミスの曲で、ボブ・ボーグルはこの曲のチェット・アトキンスによる演奏のレコードを持っていました。
「急がば廻れ」は、メジャー・レーベルのドルトン・レコードから1960年に再発売され、これがビルボードのシングル・チャート2位という大ヒットになります。
エルヴィス・プレスリーの「イッツ・ナウ・オア・ネヴァー」に阻まれて惜しくも1位にはなれませんでした。
ウォーク・ドント・ラン Walk, Don’t Run
同じく1960年、ザ・ベンチャーズのデビューアルバム「ウォーク・ドント・ラン」が発表されます。
シングルに続き、アルバムもビルボードのアルバムチャートで11位と大ヒットしました。
1960年当時は、ロックにとっていわば「冬の時代」でした。
まだザ・ビートルズが世に出る前、これだけ爽快なロックン・ロールを演奏していた彼らは、まさに黄金の60年代の幕開けを飾った存在として重要です。
余談ですが、アルバムのジャケット写真でモデルの女性の後ろに写っているのは、メンバーではなくレコード会社の従業員です。撮影時、彼らはツアーに出ている最中でした。
アメリカを代表するインストゥルメンタル・バンドとして颯爽と登場した彼らの、記念すべきデビューアルバムです。
今回は、ザ・ベンチャーズの最初の一歩をご紹介しました。
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