【デビュー物語】ボストン

デビューの瞬間には、さまざまなドラマがちりばめられています!

どんなスーパースターにも、新人の時がありました。

ここでは、さまざまなアーティストの最初の一歩をご紹介します。

今回は、宇宙的なスケールのバンド、ボストンです。

これを読めば、きっとあなたも「聴いてみたい!」と思われるでしょう。

それでは、ご覧ください。

生まれながらのエンジニア

ボストンは、アメリカのマサチューセッツ州ボストンで結成されたロックバンドです。

創設者で、ソングライター、マルチ・ミュージシャンのトム・ショルツは1947年、オハイオ州トレド生まれ。

機械いじりが好きで、なんでも自分で設計してしまうという、ちょっぴり変わった少年でした。

彼は7歳からピアノを始めます。

勉強もできてスポーツも得意という、典型的な優等生のトムは、名門マサチューセッツ工科大学に入学しました。

在学中にギターを独学で学び、さらに作曲もするようになります。

そしてフリーホールドというバンドで演奏活動を開始。このとき、のちにボストンのメンバーとなる仲間と出会いました。

兼業ミュージシャン

大学を卒業したトムは、カメラメーカーのポラロイド社に就職します。

このときから、昼間はエンジニアとして働いて、夜はボストンのバーやクラブでキーボードを演奏する、という生活が始まりました。

大学時代からの仲間であるドラムのジム・マスデアと共に、「くっきりとしたボーカル、骨太のギターを持つ完璧なロックバンド」というヴィジョンを語り合います。

そしてトムは思い切った行動に出ました。

借りていたアパートを、録音スタジオに改造してしまったのです。

トムは本業で稼いだお金をすべてつぎ込みました。エンジニアですから、設計はお手のものです。

彼らは満足するまで曲を作り、演奏し続けました。

マザーズ・ミルク

しばらくのち、トムとジムは、旧知の仲であるギタリストのバリー・ゴドローと組んでマザーズ・ミルクというバンドで活動することになります。

すぐれた曲を作るトムは、すぐにバンドの主要メンバーになりました。

肝心のボーカリストがなかなか安定しなかったのですが、やがてブラッド・デルプが加入、バンドとしての形が整います。

1973年、のちにデビューアルバムに収録されることになる曲の演奏を収めたデモテープが完成、いくつものレコード会社に送りました。

しかし、ことごとく跳ね返されます。

背水の陣

1975年になると、トムはライブ活動から完全に離れ、ひとりで自宅のスタジオにこもるようになりました。

ますます私財をつぎ込み、多重録音のできるテープ・レコーダーを購入するために、家を建てるための頭金を使ってしまいます。

もはや後戻りできないところまで追い詰められたバンドですが、ついにチャンスがおとずれました。

作成したデモテープのひとつが、関係者の間をめぐりめぐって、大手のCBSレコードのオーディションを受けられるところまでたどり着いたのです。

結果は、見事にCBSレコードとの契約を勝ち取りました。

しかし、問題が起きます。契約のつまらない問題が発生し、ボストンでのレコーディングが難しい、という事態になったのでした。

解決策として、バンドはカリフォルニア州のロサンゼルスにてアルバムを再録音、そのかわりバンド名はマザーズ・ミルクから「ボストン」に変えるという案が出されます。

トム・ショルツは、この案に不満でしたが、渋々同意。ロサンゼルスに行き、アルバムを録音し直しました。

幻想飛行

1976年、ついにボストンのデビューアルバム「幻想飛行(Boston)」が発売されます。

この作品が、「アメリカでもっとも売れたデビューアルバムのひとつ」になると、だれが予想したでしょうか。

アルバムチャートで最高3位。累計ではアメリカだけで1700万枚、全世界では2000万枚を売り上げる大ヒットとなります。

これ以降、ボストンはアメリカを代表するバンドのひとつとして大ヒット・アルバムを連発していきました。

凝りに凝った音作りながら、耳あたりが良く、あたたかみのある彼らの音楽は個性にあふれ、まさに幻想的です。

今回は、ボストンの最初の一歩をご紹介しました。

聴いてみたい!と思われたあなたは、こちらからどうぞ。
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