ブルースには、音楽の魅力のすべてが詰っています!
ブルースは現在主流のロック、ポップスなどの音楽のルーツとして、永遠に色あせない魅力を持っています。
ここでは、素晴らしいブルース・ミュージシャンたちをご紹介します。
今回は、ロバート・ジョンソンです。
これを読めば、きっとあなたも「聴いてみたい!」と思われるでしょう。
それでは、どうぞ。
クロスロード
ロバート・ジョンソン。この平凡な氏名のブルース・メンは1911年アメリカのミシシッピ州に生まれました。
幼いころ、一時期テネシー州に住んでいましたが、そのころにギターを始めます。
ティーンエイジャーになると彼はミシシッピに戻り、農場で働く傍ら音楽に夢中な日々を過ごしました。
彼が20歳の頃、ミシシッピ・デルタ・ブルースの大物であるサン・ハウスと出会います。
当時のジョンソンのギターの腕前は全然ダメだったと後にサン・ハウスは語りました。
しかし、以降の2年間で彼は急に上達します。あまりに急にギターがうまくなったことで、彼の伝説の一つである「悪魔に魂を売り渡した」という逸話が生まれました。
レコーディング
さまざまな場所で演奏活動を続けていたジョンソンですが、1936年から1937年にかけて、自分の曲を残したいと思い、レコーディングに臨みます。
残した曲は29曲だけですが、それぞれ別テイクを録っていますので全59テイク、それを2度のセッション(合計5日間)で録音しました。
すべて彼ひとりだけの歌とギターによる演奏です。
この時録音された何曲かが、当時78回転のSP盤レコードで発売されました。
彼はレコーディングされた時にわずかのギャラをもらって、また元の演奏活動へと戻っていきます。
遺産
こうして私たちは、彼の残したブルースを聴くことができるようになりました。
1930年代ということで、確かに音質は良くありません。
しかしこれを頭の中で現代のサウンドに補正して聴く、という行為もまた楽しいものです。
今では新たなリマスター技術によってレコード盤時代よりは格段に聴きやすくなりました。
もちろん、アナログ時代の古い音のほうが味わいがあって良い、というかたもいらっしゃいます。
LPレコードの時代は2枚に分けて売られていました。
魅力
聴いていて印象的なのは、彼の伸びやかなボーカルです。
ファルセット(裏声)も多用した歌い方は、かなり印象的。
ひとりだけの演奏なので、ギター1本でベースラインもメロディラインも演奏しています。
それが歌と完璧にマッチングしていて、ひとりだけのバンドのようでした。
ボトルネック奏法(指にスライド・バーをはめてスライドさせる奏法)も見事です。
彼は、カントリーなデルタ・ブルースと、バンドスタイルのシカゴ・ブルースの橋渡しのような役割を果たしました。
ロックの父がシカゴ・ブルースなら、ロバート・ジョンソンはロックの祖父と言ってもいいでしょう。
意識して聴こうとしなくても、気が付けば音楽コレクションに入っている、そんなアーティストです。
あなたも、悪魔に魂を売り渡してみますか?
今回は、ロバート・ジョンソンをご紹介しました。
Amazon Musicで聴いてみましょう。